月とロミジュリ



風を思い出したら
振り返って
空を見上げて
君を探していた

青白い空に
釣り下がった
針金月
よそ見していたら
君を見失った

世界の美しさに
気付いても
君は泣きそうに
誰かの手を求めて
揺れている

あっという間に陽が落ちて
風が吹いても
独りと独り
同じ月は見えなくて

埋もれたくないのだと叫んださ
君はただそこにじっと立っていただけだ
うまくかたちにならない

それでも
風を思い出して
振り返って
空を見上げて
君を探す

走り始めると
月は空のどこかに姿を隠して
闇がすっぽりと世界を覆う

空も月も風も君も
誰かの目を求めて
さまよっている
闇が
揺れているから


君は夜に隠された世界の秘密
僕は君を手に入れて
狂うほどに口付けたら

ふたりだけの秘密にしよう
誰にも解けない月になろう
毒を盛って愛し合おう