無題 05

移り気な君の後ろ姿に 瞬く信号の色が映える
冷たい夜の風に 黒いロングコートの裾をはためかせながら
ゆっくりと光の波の中にのまれていく

どうしておいかけてこないの?

ぼんやりと頭の中でそんな問いかけが浮かんだ
私の首筋を君を撫でた風が同じ手で触れてくる
息を吐いて空を見上げ固く固く目を閉じた

もうそんな気力ないの

念じるように頭の中で呟くと
君が消えた光の街に背を向ける
一歩 踏み出すことはあまりにも簡単で
私は思わず笑ってしまった

明日は目覚ましが鳴っても起きないことにしよう

心が浮き立って靴を脱いで走りだす

2008.11.08