無題 03

君の手が差し伸べられた夜
抑えきれずにこぼれた泪が
青い草原に波紋をつくった
震えながら君の腕の中へ

望んでいたものと違っても
君の胸にしがみついていたい
冷たい夜に独り落ちることは
自分を見失うことに似ていた

そう 怖かったんだ
君の手も目も耳も口も足もあるのに
僕には何もない
あるのは果てしない吠え声だけ
それだけで君は僕を見つけられる?

もう君の手を離せないよ
離してしまったらもう二度と
僕を取り戻せないから

抱きしめて

2008.11.08