どうして愛しいのか



雨が降っていた。しとしとしとしと、まるで何かを悲しむみたいに。
そう感じるのは、僕がものすごく憂鬱な気分になっているからだろうか。
あまりそうは思いたくない。

走ることに疲れた日。僕はふと青い空を見上げた。
なんであんなに青いのだろう。すごく不思議だ。
雲ひとつなく、鳥もいない。からっぽな青。

あの青に比べたら、今日の空は少しは近くにいる気がする。
めそめそしているやつは、まるで僕みたいだ。

ねえ、なんでこんなことを思うのだろう。馬鹿みたいじゃないか。
いつだったか感じた淋しさも、気づけば当たり前みたいになってる。
これでいいのかな。

前に進むことを考えてみる。そうすればこの背伸びも嘘じゃなくなる。
少しはそれらしくなれたかな。気づかれないように今日は早く帰ってしまおう。

珈琲でも飲もうか。少しゆっくりしようか。
悲しくなんてないさ。悔しくなんてないさ。
何を言われたって、小さな幸せさえ忘れなければ僕は十分なんだ。

明日の話をしよう。
例えばこの空が青に変わって虹がかかる。
君の大好きな春色の服を着て、緑の中に駆け出そうじゃないか。

きっと君はとても可愛いから。とても美しいから。
僕の隣にいてよ。

雨の中。
明日のことを考えよう。
とりとめもなく。
僕の頭の中で。
君の好きな歌を口ずさみながら。                


2008.4.20 晴れ。