赤い棺



歪(ひず)んだ夕焼け 少女の頬は緋色に染まる
嗚呼 どうして 愛しさが募る
暗い深淵を覗き込みながら
静かに狂っていく冷たい殺意を
幼い胸に埋め込んでゆく
哄笑が迸るままに愛す
嗚呼 どうして 生かしておけようか
少女の黒髪を指で梳き
緋色に染まった躰を
凪いだ海に浮かべる
躰が流されるままに
緋色の道が続いてゆく
それは あの夕焼けに向かって

2007.9.13